サマータイムとはなんだったのか
サマータイム、夏時間、などと呼ばれる制度を、ご存知ですか。
一年のうち、夏を中心とした季節に日照時間帯を有効活用する目的で、標準時間を一時間進める制度です。明るい時間に仕事をして、夜は余暇時間を長くとれるこの制度は緯度が高く夏の日照時間が長い国で実施されています。
目的は?
夏時間開始の際に時計を1時間進め、夏時間終了の際には時間を1時間戻す。
そんなサマータイムのメリットは以下の通りです。
- 明るい時間を有効に使えるので照明の節約になる。
- 交通事故や犯罪発生率の低下。
- 活動時間が増えることによる経済の活性化。
- 午後の日照時間が増えることによる余暇の充実。
しかし、実際に日本ではサマータイムの導入がなされないのはご存じのとおりです。それは、デメリットも多いからなのです。日本はサマータイムを実施している諸外国と違う点が何点かあります。その点も踏まえて、デメリットを考えましょう。
- 日本の夏の湿度は高く、日没後も蒸し暑いため、帰宅後の冷房需要が他国と比べて大きく、暑い時間に帰宅することで家での冷房による電気使用量が増え電気代も増えることになる。
- コンピュータを利用する各種システム更新の移行コストがかかる。
- 時刻切り替え時に一時的に交通事故が増加するという説もある。
- 「明るいうちに帰ることになっていても、もともと日本には残業しない、という選択肢はあまりない。労働時間(残業)を増やす上、サービス残業になる可能性もある」、という指摘もある。
- 日本列島は東西に細長いため、東日本と西日本で日の出・日の入りに大きな差があるため、全国一律サマータイムの導入が現実的でない。
歴史は
第一次世界大戦中のドイツで1916年4月30日から10月1日まで、イギリスが1916年5月21日から10月1日まで採用したのが始まりです。
日本では占領軍の施政下にあった1948年〜1951年の間のみ実施されていました。
第二次世界大戦の敗戦後、占領統治されていた時期のことで、夏時刻法という法律が制定されました。その後、廃止の運びになったわけですが、その理由として考えられるのは当時の日本は農業に携わる人口が多く、時計で動くのではなく太陽の動きに合わせて生活しており、夏時刻の制度になれなかった、というのが大きな原因と考えられています。
その後、日本全体ではサマータイム導入は実施されていません。しかし一部の地方で実験的に導入されたことはあるのです。
サマータイム実施国
現在国連加盟国193カ国のうちサマータイムを実施しているのは、64カ国で全加盟国の約1/3です。しかし、サマータイム実施をしている国内でも、全土にわたって実施しているかというとそうではないのです。一部、サマータイムを実施していない状態の国もあります。
アメリカでは、サマータイムは日の長い夏の間電気を節約しようということで、3月の第2日曜日から11月の第1 日曜日までをサマータイムにしています。
ヨーロッパでもサマータイムが実施されており、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日までがサマータイムの期間になっています。